今回はDIR EN GREYのミニアルバム"six Ugly"についてご紹介します。
これまでのアルバムの紹介記事はこちらからどうぞ!
six Uglyについて
CD/Dir en grey/six Ugly/SFCD-15
発売日 2002年7月31日
前作、鬼葬から約半年という短いスパンで、シングル「Child prey」と同時リリースされた本作は、よりヘヴィにライブを想定された楽曲陣で構成されています。
収録曲も6曲とコンパクトなことから、普段のアルバム制作の時は意識する「バランス」も今作では無視し、鬼葬以上に勢いとノリを追求した作品になっています。
クラシックなヴィジュアル系という概念を壊し、洋楽志向の楽曲へとシフトチェンジした為(同時発売シングルのChild preyの詩は全英詩だったり)、懐古主義のファンは離れ、よりハードなものを求める熱烈なファンはその変化について行ったのも事実。
また、デジパック仕様の初回盤は、鬼葬同様に歌詩カードが隠されていて、ギミックが効いています(笑
その歌詩カードもフォントの大きさがバラバラで、読みやすいとは言い難い作りになっています。
コカコーラのロゴみたいなステッカーが付属していたのも懐かしいですね。
six Ugly 収録曲レビュー
1. Mr.NEWSMAN
Die原曲。
バックのリフはヘヴィで激しいですが、歌メロは健在。
ドロップチューニング仕様のユニゾンの効いたリフは、鬼葬とは違う音の厚みを感じます。
イントロ後のユニゾンフレーズは特別疾走感があるわけではないのですが、なんか聴くとノリノリになって気分が上がるから不思議。
1回目のAメロと2回目のAメロのギター陣のバックが微妙に違います。(2回目の方は合間にDieの単音フレーズを盛り込んでいます。)
Aメロ、Bメロでは豚が散々出てきましたが、サビではなぜか青い魚が登場!
サビの京の声使いが色っぽいですね。
このサビ裏で鳴っているDieのブリッジミュートが効いたフレーズが格好良いのですが、あんまりよく聞こえないのが残念。
2. Ugly
Shinya原曲の怪しさ全開のナンバー。
これまでのShinya原曲はメロディアスなものばかりでした。しかし、前作の鬼葬の選曲会ではバンドの曲調の変化に遅れを取り、一曲も採用されませんでした。
それを受けて、様々な洋楽を聴いてラウド、ニューメタルについて研究して今作は曲出しに臨んだとか。
その甲斐あって、本作ではこの「Ugly」と「umbrella」の2曲がShinyaから生まれています。
小手先の効いたドラムと、そこに絡むDieの不協和音的なギターから始まります。
小馬鹿にしたような感じの歌い方から、怒りを剥き出しにしたかのような歌い方、勢いに身を任せるシャウトと、京の声使いも多種多様。
徐々に高まって、暴走していく展開が良いですね。
曲の展開は本作で一番、アブノーマル。
3. HADES
京原曲。
冒頭のノイズ?が犬の「ワンワン」という鳴き声に聞こえるのは自分だけ?
様々なニュアンスの声が組み込まれています。それでいて、ライブでは同期に一切頼らず表現しているのは流石。
ハードなのにどこか聴きやすく、耳に残る中毒性もあります。
途中のハーモニクスを効かせたギターソロが格好良い。
ギターソロらしいギターソロが収まっている曲は本作で唯一この曲だけ。
サビの縦ノリのリズムと京のシャウトがシンプルながらも聴いてて気持ち良い曲。
4. umbrella
Shinya原曲の盛り上がり必須のアップテンポナンバー。
イントロの跳ねるようなドラムが特徴的。
薄く鳴っている打ち込みのシンセが良いアクセントになっています。
明るくキャッチーなサビを含むこの曲は、今作では一番聴きやすいのでは?
サビの「Hey, Miss Girl is Very Fond Of Child」って直訳すると、「おい、少女は子供が大好きだぞ」になります。
なんか、とてもシュールです(笑
普通のバンドならこの手の曲はコンパクトに収めますが、あえてそうしないところがDIRらしいなと。
途中の「最高のディナーショウさ」の展開を間に挟んでくるあたりが、そう感じさせますね。
5. children
太陽の碧のカップリングで収録されたものをリアレンジ。
ラップ的な歌い方、ファンクテイストのギターがミクスチャーを感じさせます。
京の詩もどこかシャレ地味ています。しかし、「らしさ」は健在!
Aメロの雰囲気はラップになっているため原曲と印象が違います。サビのシャウトで押していくノリは原曲よりさらに凶暴さを増しています。
原曲にはなかったベースのソロパートが追加されています。これが格好良い。
スラップを用いていれば、また曲の雰囲気やノリが違んだろうなと。(この頃のToshiyaはピック弾きのため)
気合いを感じる、ノリが命の曲です。
6. 秒「」深
インディーズ時代のミニアルバムMISSAに収録のライブ定番曲をchildren同様にリアレンジしたもの。
割と原曲のリフに忠実ですが、ヴォーカルパートは全く違い、シャウトでゴリ押します(笑
本作の中では一番収録時間が長い曲。
Aメロのキックの連打の入る箇所のヴォーカル、間奏部分の呟き?が歌詩カードを見ても何を言ってるのかさっぱり!
ラストの京の笑い声が、悪役的な悪さを醸し出してますね(笑
six Ugly 総評
どの曲もハードさとアグレッシブさがあり、ライブ向けと言うのがまさに相応しい。
詩は語幹と響きを重視して作られているため、メッセージ性やストーリー性は薄く、意味を成さない言葉が多いのも本作の特徴。
楽曲は激しくなりましたが、これまでのホラーめいた怖さ、毒気や怪しさという点では以前の三作のアルバムに比べると薄れているように感じます。
余談ではありますが、ぼくがDIR EN GREYをリアルタイムで聞くようになったのはこの時期からです。
まとめ
ドロップチューニングを導入し、以前に比べると音に厚みが増した本作。
この頃からDIR EN GREYは独自のヘヴィ路線へとシフトチェンジします。
次アルバムVULGARでは、これまで培ってきた世界観とヘヴィネスが融合を遂げます。
以上、six Uglyのレビューでした。