【DIR EN GREY】4th ALBUM VULGAR【レビュー】
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今回はDIR EN GREYのフォースアルバム"VULGAR"についてご紹介します。

これまでのアルバムの紹介記事はこちらからどうぞ!

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VULGARについて

 

発売日 2003年9月10日

 

MACABREで世に晒された、彼らの持つ独特な重厚で聴くものを選ぶ構築された世界観とその後の鬼葬、six Uglyで意識されたライブ感を意識したものが融合した今作。

チューニングはsix Ugly同様に基本的にはドロップDを導入、もしくはドロップC♯で演奏しています。(OBSCUREでは7弦も使用されています)

楽器全体として深く沈み込むような音作りが印象的。

ヴィジュアル系にニューメタル路線を導入し、その音楽性は瞬く間にシーンに広まり、彼らを模倣したバンド(良くいえばフォロワー)が今もなお健在であることから、彼らのシーン内での不動の位置付けが確認することができます。

また、本作では京のクレジットがProphetという表記になり、直訳すると預言者、提唱者という意味合いで若干宗教くさい感じ?がしますが、表現者という意味合いを込めてProhetにしたのだとか。

それは見事にシーン内でもしっかりと受け継がれ、一時期は彼のようにVocal表記ではないフロントマンが増えたのも事実。

当時は詩の一人称が「僕」から「俺」になったこともオーディエンスの間では話題になりました。

初回盤にはOBSCUREの規制されたMVが収録されたDVDが付属。

「痛み」という明確なコンセプトが提示されたのもこの頃からで、そういうった意味ではそれまでの彼らとは差別化され、新たなDIR EN GREYの歴史の幕開けを物語る一枚。

 

ちなみに、個人的な話をすると、ちょうど彼らが地元のホール(Toshiya氏の地元でもあります)にライブに来たのですが、当時中学生だったぼくは生徒会の会合があって、チケットを買う前にライブを諦めたという苦い思い出があります・・・。

 

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VULGAR 収録曲レビュー

 

1. audience KILLER LOOP

 

不穏なSEと悲痛な京の叫びから始まる本作。

痛みというコンセプトを掲げるにふさわしい幕開け。

ズシンとベースが腹に響きます。

間奏明けの展開が秀逸で、曲が進むにつれて緊張感を増して高揚するのが堪らない。

詩の内容は京が自分自身に問いかけているように捉えることができます。

ラストは咆哮と呼ぶに相応しい京のシャウトを交えてフィニッシュ!

 

2. THE IIID EMPIRE

 

打ち込みとDieのピロピロ?ギターから始まるライブで盛り上がり必須なナンバー。

イントロのヴォーカル入り前の楽器隊のユニゾンが聴いてて気持ち良くて格好良い。

第三帝国という名でファンの間では親しまれていますね(笑

魔人婦穴と書いてマリファナと読ませるあたりがニクイですね〜

また詩に出てくる爆裂都市は、1982年のSFアクション映画「爆裂都市 BURST CITY」に由来しているのでしょうか。

曲全体を通してヴォーカルはラップ調で、ラジオヴォイス的な加工が施されています。

Bメロの畳み掛けるような勢い、サビで一気に爆発するシンプルなシャウトが最高。

後にベストアルバムで再録されていますが、もちろんこっちもメッチャ格好良いです!!

 

3. INCREASE BLUE

 

Shinya原曲。(確か、当時のインタビュー記事でそう見た記憶が・・・)

直訳すると増大していく青。

ヴォコーダのようなヴォーカル加工が印象的。

イントロの薫の疾走感溢れるギターや詩中の「Ladies and gentlemen It's a show time」がライブ映えを想像させます。

京のバカにしたような歌い方と彼の多重人格ヴォイス?が楽しめる曲。

詩の世界観的には洋画シリアルホラーとかそんな感じ?

 

4. 蝕紅

 

サビの童謡のような詩とキャッチーなメロディが印象的な曲。

激しいシャウトもありますが、サビメロはしっかりしているので比較的聴きやすいかなと。

DIRの持つ「和」のテイストを感じます。

途中のヴォーカルとオルガン部分はライブではアカペラ仕様。ライブ中に同期が故障したのがその発端だったとか。

Categorizeとシャウトしている部分が、どうしても「和酒をライ」に聞こえてしまいます、すいません。

後に発売の「朔-saku-」のシングル、「激しさとこの胸の中で絡みついた灼熱の闇」のシングルの中で確認することができます。

 

5. 砂上の唄

 

本アルバムで一番聴きやすく、メロディアスなナンバー。

Dieのギターと京のヴォーカルから始まります。

うっすらと聞こえるピアノの打ち込みが叙情さをかき立てて良き。

本作発売に向けて、当時テレビ朝日のDIRの特番が組まれていました。

その中でレコーディング風景としてこの曲の収録風景が流れていたのが懐かしい!

サビ裏の躍動感あるToshiyaのベースも聴きどころ。

よく聴くと、最初にヴォーカルブレスが聞こえるのが新鮮。

 

6. RED...[em]

 

個人的にアルバム内で一押しの曲。

イントロはモコモコ?鳴っている同期が印象的。

ギターのパワーコードストロークはNIRVANAのSmells Like Teen Spiritを彷彿させます。

「届かない明日を見て」の後のクリーンのギター裏で歌うように鳴っているToshiyaのベースフレーズが良いですね。(自分がベーシストだったら多分コピーしてます!)

そして、その後の「目の前を通るたびに俺の心は叫んだ」と投げ捨てた後に入るギターソロが、ザ・感情Die爆発!という感じで最高です。

また、アルバム内で唯一ギターソロがある曲であり、ライブではDieのアドリブが炸裂(近年では聴けるのは稀)!

この曲は昔ギターでコピーしたのですが、めっちゃ楽しかった記憶が。

 

7. 明日無き幸福、呼笑亡き明日

 

シャッフルビートとヘヴィネスが融合したナンバー。

皮肉めいた詩で、世間を嘲笑しているような印象を受けます。

この曲の中では更に激しく多重人格ヴォイス?が炸裂。

サビメロはどこか歌謡チックでDIR流のヘヴィネスエレジーとも捉えられるような気がするような。

そう考えると、タイトルもどこか哀愁を帯びているし、シックリくるような!?

和田アキコの曲にあっても名前的には違和感ありません!(それは言いすぎました。しかし、当時のインタビューで京は和田アキコを聴くと公言していました)

 

8. MARMALADE CHAINSAW

 

まず、マーマレイドチェーンソーってタイトルがどこか可愛くも猟奇的で格好良い。

Aメロの左右にパンが行き来するヴォーカルの掛け合いが格好良き。

改めて聴くと、ここまでヴォーカルを楽器的に扱ってミックスしてるのって新鮮だなと。

詩には「時計仕掛けの」と出てくることから、キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」を彷彿させる曲でもあります。

途中のAメロ裏で鳴っているDieのカッティングが気持ちいい。

 

9. かすみ

 

先行シングル。

アルバム用にリマスタリングが行われていますが、シングルとの差はあまり感じられません。

歌メロはめっちゃキャッチーかと言われればそうではないのですが、聴けば聴くほど良さが出てくる、言わばスルメソング。

詩中では【KR】cube、太陽の碧と同様に京の地元愛炸裂が垣間見られます!!

自分は京都出身でもなんでもないですが、個人的に京都を思わせるフレーズを詩に散りばめてるのはすごく良いなと。

紙風船とかもそうですが、こういう日本語のチョイスがすごい好きで、詩が素敵だなと。

曲の終わり方も詩の終わり方も不透明で普通に終わらないところがDIRらしいの一言。

後にミニアルバム THE UNRAVELINGで再録。

 

個人的余談ですが、中学生の時に京都に修学旅行に行き、ちょうど、この曲がリリースされた頃のフールズを持参し、タクシーの運ちゃんに「この人、京都出身なんですけど、知ってますか?」と聞いたところ、「しらん」と一蹴された悲しき春の想い出。

 

10. R TO THE CORE

 

Rの表記は反転したものになっています。

Shinya原曲のアルバム一の最短ナンバー。

本作の中でもっともパンキッシュでシンプルな曲構成。

DIRにしては珍しくメジャーコード全開な曲。

しかし、ダミ声で歌い上げていることからその明るさも良い意味で殺されています。

最後の吐き捨てるような終わり方も気持ち良い。

以前はライブで二回連続で演奏されたりもしましたね。

詩の一部は先行シングル「かすみ」の帯裏に書かれているものに酷似しています。

 

11. DRAIN AWAY

 

Die原曲の先行シングル。

イントロのShinyaのドラムフレーズが耳に残ります。

ヘヴィなリフと耳障りの良い歌メロが融合した画期的な曲。

うっすらと鳴っているシンセが、曲名を直訳した流出するというイメージにピッタリ。

サビ裏のToshiyaのベースがいい感じに歌ってます。

ちなみに、ぼくが初めてリアルタイムで買った彼らのシングルがこれでした。

当時、新星堂に買いに行ってポスターが付いてきたのがめっちゃ嬉しかった思い出が。

このアー写の時の見た目、めっちゃ好きです。

 

12. NEW AGE CULTURE

 

バーの中?コンサートホール?にいるようなSEから始まり、一気にTime to escapeというシャウトで畳みかけます。

リフでゴリゴリ押し上げていくハードコアナンバー。

この曲の薫のギターレコーディング風景も当時のテレビ朝日の特番で映し出されていました。

 

13. OBSCURE

 

このアルバムの核、真髄とも言える本曲。

イントロの不気味なピアノと打ち込み音が不穏な空気を出しています。

激しいですが、メロディがしっかりとしているので意外と聴きやすかったりします。

この曲では7弦ギターと5弦ベースが導入されているので、アルバム内では最も重厚感のある存在。

曲全体としては美しさと醜さが入り混じった狂気と形容すれば良いでしょうか。

後にLOTUSのカップリングで再録。

 

14. CHILD PREY

 

six Uglyと同時に発売されたシングル。

この曲聴くと、めっちゃテンション上がる!!

イントロの京のシャウトをサンプリングした同期がどこかTHE MAD CAPSULE MARKETSを連想させます。

野太い男気あふれるコーラスがライブ映えすること間違いなし。

そのコーラスの影響か、BALZACの楽曲を連想させるなんて声もチラホラ。

ヴォーカルは録り直され、シングル版とシャウトが変わっていたりします。

疾走感あふれる表打ちのドラムが、終わりへと向かう高揚感を更に演出しています。

ライブで盛り上がること必須な曲。

 

15. AMBER

 

本作を締めくくるミディアムチューン。

琥珀色という意味を持つ本曲は主張しすぎないシンセサイザーがバンドサウンドに馴染み、どこか儚げな印象。

京の歌い方もどこか優しげな、だけど物寂しい感じがメロディを際立たせています。

詩の中の「終わりを告げるライトは消えて舞台は闇」という部分が個人的にとても好きです。

最後に「バイバイ」と告げて終わるヴォーカルが更に、舞台の終わり、アルバムの終わりを暗示しています。

 

VULGAR 総評

 

MACABREで提示した彼ら特有の美醜を基軸とした世界観と鬼葬、six Uglyで研ぎ澄まされたアグレッシブな一面が見事に集約されたアルバム。

MACABREのようにバラエティに富んでいるのではなく、各楽曲のカラーに統一感があります。

しかし、同じカラーを持たせつつも、どの曲も同じに聞こえないのは流石。

冒頭でも触れましたが、このアルバムは後世に多大な影響を与えて、シーンの変異に大きく貢献し、ダウンチューニングバンドを量産させました。

今でこそヘヴィな音楽はティーンの間で市民権を得ましたが、当時は青春パンク真っ盛りの時期。

そんな世間の流れを無視した彼らの音楽にリアルタイムで触れることが出来て良かったなと、そんな思い出深い一枚。

 

まとめ

 

新たなDIR EN GREYの歴史を世に提示した本作。

次アルバムWtihering to death.では、更にパンキッシュにエッジを効かせたサウンドになります。

以上、VULGARのレビューでした。

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