【その5】フランス私小説を書くことにした。【ズッカ自伝】
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パリまでのフライト

 

初めての成田空港を前に、その国際色豊かな風景にぼくはすでに興奮していた。

空港内を散策し、集合時刻になるとぼくは集合場所へと向かった。

そこには、同じ旅を共にすると思われるツアー客の人たちが群がっている。

大学生らしき女の子、新婚らしき夫婦、老夫婦、親子といった顔ぶれだ。

当然、そこにいる人たちはみんな二人組で、一人ポツリとたたずんでいるのは自分だけだった。来る前から予想していたことなので「ああ、やっぱりか」と、何も驚くことはなかったが、一人だけでそこに居合すというのはなんだかとても違和感を覚えた。

添乗員の方もすでにいて、スーツ姿でビシッと決めている。

宮崎さんという、20代後半ぐらいでとても可愛い顔だちの女性。

搭乗に当たっての注意事項を説明されて、ぼくらは出国ゲートへと向かった。

今回のフランス行きのフライトは途中、ドーハで乗り継がなければならない。飛行機の中は満席。

夏だったにもかかわらず、飛行中の機内は空調のせいか少し寒くて、乾燥していたのが意外だった。

ぼくは新婚と思われる夫婦と並んで座り、「ハネムーンか〜」なんて横目に見ていた。

聞くところによると、この夫婦はパリでの自由時間はオペラ座の怪人を観にロンドンまで電車移動をするらしい。

パリからロンドンまで電車移動が可能なことをこのときに初めて知った。

ドーハには現地時刻の夜中に着いた。これまでテレビやネット上でしか見たことがなかったような民族衣装を纏った人たちがすぐ目の前にいる。

男性は真っ白の衣装に身を包み、風変わりな帽子と長く伸びたひげが、異国感をぼくに訴えかけていた。

乗り継ぎまでの待ち時間は5時間ほどあり、気づけば空港のイスに座りながらぼくはウトウトしていた。

定刻通り飛行機はドーハを飛び立った。機内は満席とはいかず、空席が目に付く。

長い乗り継ぎとフライトを経て、ようやくシャルル・ド・ゴール空港第一ターミナルに到着した。

フランスの空港についてまず抱いた印象は「良い匂いがする」だった。空港内の免税店の香水の影響だろうか。

パスポートコントロールを抜けて、機内に預けた買ったばかりのスーツケースを受け取り、傷がないかを入念にチェックする。

空港からは専用のバスが迎えに来ていて、ぼくらはパリの街を通り抜けて、モネの庭があるジヴェルニーへと向かった。

 

つづく。

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