【その2】フランス私小説を書くことにした。【ズッカ自伝】
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旅の準備

 

フランスへ旅行するにあたって、海外経験ゼロの自分が取った選択は、手っ取り早くツアー旅行に申し込むというものだった。

しかし、ツアーに申し込むに当たって懸念したことが一つある。

それは一人参加であること。

通常、ツアー旅行というのは友達、親子、夫婦など親しい人と参加するのが大半であることは、海外旅行経験のないぼくでも安易に想像がついた。

右も左も分からない、英語もままならなかったぼくにとって、初海外でツアー旅行という判断は無難だ。

しかし、そこに一人で行くというのは若干の戸惑いがあった。

ツアーの申し込み期限も差し迫っていたことから、ぼくはあえて、ひとりでツアーに申し込むという大胆な行動に出た。

 

 

それから、初めての海外旅行にあたり、諸々の品を揃える必要があった。

旅先での利便性を考えたら、ガラケーは不便に違いない。

まず、ガラケーからiPhone5へと新調することにした。

続いて、クレジットカード。

それまでのぼくは、カードとは無縁で常に現金一択だった。

しかし、海外旅行をするにはクレジットカードがあった方が何かと助かるので、人生初のカードデビューを飾ることにした。

幸いパスポートはすでに手元にあった。

以前の勤め先で、「中国に出張になるかもしれない」と言われたときに会社の経費で作ったのだ。

一度も使われなかったパスポートは、ここへ来て一年越しに、ようやく日の目を見ようとしていた。

だが、肝心のスーツケースがない。

妹がフランスへ行ったときは祖母のスーツケースを借りて出掛けていた。

同じように祖母から借りるという選択肢もあったが、ぼくは自分の、マイスーツケースが欲しかった。

それに、自分がスーツケースを買えば、家族の誰かが旅行するときも使ってもらえるし、わざわざ離れて暮らす祖母から借りる必要もなくなるだろう。

スーツケースを買うことを母親に告げたところ、「RIMOWAがいいわよ」との返事がかえってきた。

リモワ?どうやら、ドイツの老舗ブランドで有名らしい。

どんなものかと、すぐにネットで調べてみると、品のあるスーツケースが画面越しに並ぶ。

キレイな上に、デザインもスタイリッシュかつオシャレだし、長く愛用できる耐久性という部分にも惹かれた。

数ある種類の中でも、トパーズチタニウムのシャンパンゴールドのスーツケースがひときわ目立っていた。

一度、この現物を見てみたい。そんな思いに駆られた。

このとき、ぼくは小学校高学年のときのことを思い出した。

そう、あれは、キャンプ用のリュックを買う必要があったときのこと。

学校が斡旋するリュックの中で、ぼくは一番値段が高く見栄えが良いものを親にねだった。

どうやら、昔からカタチから入る傾向がぼくにはあるみたいだ。

リモワのスーツケースを買うにあたり、ネットで安く買うという手段もあったが、実際に現物を見たかったこと、後々の破損や保証を考えて正規店で買うことにした。

来たるべきフランス旅行に備え、ぼくは片田舎からわざわざ丸の内のリモワストアまで行くことにしたのだ。

 

つづく。

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